●2次避難と観光両立、宿泊施設ごとに予算配分
石川県は27日、能登半島地震に対する国の観光支援策「北陸応援割」を、北陸新幹線敦賀開業を迎える3月16日に開始する方針を固めた。2次避難者を受け入れながら、残りの客室で応援割を活用する。宿泊施設ごとに予算を配分し、実施期間は各施設が予算を使い切るまでとする。4月以降も避難者を受け入れる事業者には予算を追加支給する。富山、福井、新潟3県と同時にスタートすることで、北陸が一体となって観光客を呼び込み、被災地の復旧・復興の後押しにつなげる。
北陸応援割で石川県に割り当てられる予算50億2千万円を、参加する各施設に配分する。各配分額は、新型コロナ禍に見舞われた2022~23年に国が実施した「全国旅行支援」の際の宿泊者数を基に算出する。
これに加えて、各施設には4月以降に受け入れる2次避難者数に応じて予算を追加支給し、2次避難に協力する施設が不公平感を抱かないよう配慮する。
実施期間は3月16日からゴールデンウイーク(GW)前の4月26日までを第1弾、GW後を第2弾とする。予約は3月12日から受け付ける。
能登半島地震の影響で県内の宿泊施設では1~3月に約30万人分のキャンセルが発生した。県は金沢以南のホテルや旅館などを2次避難先として活用し、27日現在、200施設に4328人が身を寄せている。
宿泊事業者は、敦賀開業と北陸応援割による観光需要の回復を期待していたが、2次避難者が希望する応急仮設住宅の建設に時間が掛かり、避難者の次の住まい確保と北陸応援割をいつから始められるかが課題となっていた。
馳浩知事が今月14日、石川の開始時期を遅らせる考えを示したところ、宿泊事業者らが反発したため、県は2次避難者の意向調査や宿泊事業者の受け入れ可能数を見極めて判断するとしていた。
小松市粟津温泉観光協会の旅館は7月中旬まで2次避難者を受け入れる方針を示していた。加賀市山代、片山津、山中の3温泉でつくる加賀温泉郷協議会は4月以降も受け入れる考えを表明し、北陸応援割の3月16日からの開始を求めていた。
★北陸応援割 能登半島地震で落ち込んだ観光需要を喚起する政府の支援策。3~4月をめどに石川、新潟、富山、福井4県で1泊当たり2万円を上限とし、旅行代金の50%を割り引く。交通費込みの旅行商品も対象。2泊以上で交通費込みの場合は3万円、宿泊地が2県以上の周遊型は3万5千円をそれぞれ上限とする。4県が国の補助金を活用して割引額を負担する仕組みで、旅行者は代理店や予約サイトを通じ、安い価格で購入できる。政府は予備費から94億4千万円を計上した。
記事出所:2024年2月28日(水曜日) 8時2分配信 北国新聞